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再度アリスに声を掛けられ、俺は我に還る。そこで改めて自分が立ち尽くしていることに気付き、アリスの隣に腰を落ち着かせた。
とりあえず目の前に置かれた注文の品、ミルク――アルコールは嫌いなんだ――を一口飲み、俺は口を開いた。
「……あのさ、あそこの団体奇妙だよな…」
〝あそこの団体〟とは勿論、先客の若者達の事だ。さっき目を向けた時気付いたんだが、あいつら全員同じ服を着てやがる。
全身が、というわけではない。上半身…背中に何か文字が書かれた黒いTシャツを着ている。
アリスもソレを視認した後、小さく「確かに…」と呟いた。
「あれ、なんて書いてあるんだ?」
二度目の疑問に答えてくれたのはアリスではなく、霊夢だった。
「〝我神を信じず悪魔を信ずる〟。典型的な悪魔崇拝よ…ダサイ台詞背負ってるわね」
「恥ずかしいわ」と最後に口にして霊夢は口を紡いだ。……傍から見ても分かるが、どうやら霊夢は機嫌が悪いらしい。食事風景が『やけ食いする巫女』に見えてきた。
「詳しいのか?」
「否定。…神に仕える身だから詳しい事は知らないけど、この世界で云う悪魔崇拝は自己顕示欲の権化ってことくらいね。
ま、ご教授願いたいならアリスに頼んだら? ある意味〝悪魔出身者〟だから」
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