マゼンタ

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名残惜しそうな顔もせずに背中向ける 貴方が見えなくなるまで眺めた 誰かの為に生きることが 自分の為に生きていること 私に中身は無い そっと抱いた花は真っ赤 棘に怯えず触れて欲しい 今だけが開花時期 花びらがひらり落ちてしまうまでは 貴方に全てさらけ出して居たい 曖昧な言葉でごまかした 罪を背負うのを避けているかのように 私が自ら足を踏み入れるのを待ち続けている 貴方は確信犯的だわ 鮮やかなものは直ぐに濁っていく だから綺麗な姿でいられる間に 何度間違ってもいいよ 確かな気持ちを持って私を摘み取って その胸に突き刺さり痣を残し 少し抵抗して我が儘言いたい 私が枯れ堕ちてしまう日まで必要として 私が拒まないように 私が裏切らないように
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