再会、そして

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 人を見かけや先入観だけで判断したり態度を変えたりしてはいけないという教訓は、ここ最近の出来事で深く心に刻まれることになった。  最初は凶悪な荒くれ者にしか見えなかった香坂早苗は、義理がたく誇り高い芯の強い気質だった。  睦月縫は狂った笑いを上げる破壊の化身という印象が、最終的にはただの普通の女の子が泣いているようにしか見えなくなった。  そして、そんな彼女たちへと全力で向かっていくことに興奮と悦びを覚える、坂本ゆかりの隠れた本性。  マジックゲームによりむき出しの魂でぶつかり合えたからこそ、それを知ることができたと思う。  古い青春漫画によくある、“ケンカした末に友情が芽生える”みたいな泥臭い話だが、何もそれは男同士だけの特権ではない。女同士にだってあるのだと、自信を持って言える。  だからこそ自分はこうして千早と無二の戦友になれたのだから。 「……あの、坂本さん。どうしたんですか? その、そんなジーッと見られると……」 「あはは、ごめんね。美晴の気持ちがちょっとだけ分かっただけだから」 「? よく分かりませんが…………あの、そういえば坂本さんはどうして倉野さんがいきなり外国に行ったのか知ってるんですか?」
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