1483人が本棚に入れています
本棚に追加
倉野美晴。とにかくじっとしていられない性格で奇行が目立つゆかりの親友だが、あの一件の直後いきなりドイツへ向かうという過去最大級の奇怪さを知らしめた。
その理由は話されないままだったが、同伴者をつけることを条件にしてマジックゲーム部・部長にして生徒会長の神崎朔夜は許可した。
が、千早は納得がいっていない様子だった。
「何も話さず頼ってくれないのは……隠したいことだとしても、悲しいです。助け合おうって決めたばかりなのに」
彼女自身がそうだったからこそ、痛ましそうに身をよじるのだろう。
羽柴千早は過去、獅子こと香坂早苗に完敗し、以来その時に失った誇りを取り戻すため、彼女に勝つことに執着するようになった。
さらに誰の力も借りずにやり遂げなければ意味がないと意固地になり、結果として楽しむというゲームの大前提すらできない泥沼にはまってしまったのである。
「……ちなみに、美晴が昔あっちに住んでたっていうのは聞いてる?」
「一応は。意外でしたが、あの変なノリもそのせいなら納得がいきますし。坂本さんは知っていたんですか?」
最初のコメントを投稿しよう!