一:焼き付いた瞳

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そんなこんなで相変わらずなやり取りをしてたら、いつの間にか時間は経ってしまうものである。 結局の所、アレックスは最後の最後まで口を割らず、昼時頃になって来るといい加減話題も切り替わっている頃で、 「……そーいえば先から気にはなってたんだけどさぁカルロス」 「ん?」 「なんで今日はこんなダラダラしてんの、アタシら」 「え?」 「え」 不意にその場の全員がそう顔をほうけさせた。 答えが分からない、というよりは自分が出したこの質問に意外……いや、ア然といった感じである。 なにより、エルザに向けられる視線が、何故か皆一様に眉根を少し寄らす感じであった。 突然何だ。 「………ぁ、あのせんぱい。 もう……」 「ジュディ」 腫れ物に触れるかのようなジュディを、カレンが睨む。 その理由をエルザは分からなかった。 ………いや、一体なに。 口にすれば簡単なのだが、この空気の中、皆に話す言葉が見つからなかった。 「………ぁ、そうだ、食前だし……そ、そろそろ薬飲んで来るね?」 そう言って席を立ったのは自然とだった。 離れる際、全員に一瞥をと思ったが、カルロスを見た所で皆から背を向けた。 途中ふらついて他人のテーブルに手をつくも、変な目で見られるだけで済んだ。 そのまま手洗いへ行くと、ほんの少し酒場の中の声量が戻った気がした。
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