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そんなこんなで相変わらずなやり取りをしてたら、いつの間にか時間は経ってしまうものである。
結局の所、アレックスは最後の最後まで口を割らず、昼時頃になって来るといい加減話題も切り替わっている頃で、
「……そーいえば先から気にはなってたんだけどさぁカルロス」
「ん?」
「なんで今日はこんなダラダラしてんの、アタシら」
「え?」
「え」
不意にその場の全員がそう顔をほうけさせた。
答えが分からない、というよりは自分が出したこの質問に意外……いや、ア然といった感じである。
なにより、エルザに向けられる視線が、何故か皆一様に眉根を少し寄らす感じであった。
突然何だ。
「………ぁ、あのせんぱい。 もう……」
「ジュディ」
腫れ物に触れるかのようなジュディを、カレンが睨む。
その理由をエルザは分からなかった。
………いや、一体なに。
口にすれば簡単なのだが、この空気の中、皆に話す言葉が見つからなかった。
「………ぁ、そうだ、食前だし……そ、そろそろ薬飲んで来るね?」
そう言って席を立ったのは自然とだった。
離れる際、全員に一瞥をと思ったが、カルロスを見た所で皆から背を向けた。
途中ふらついて他人のテーブルに手をつくも、変な目で見られるだけで済んだ。
そのまま手洗いへ行くと、ほんの少し酒場の中の声量が戻った気がした。
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