313人が本棚に入れています
本棚に追加
/346ページ
「…ぅ……もう……いやあ、やめてぇっ……!!」
シーツを引きはがして飛び起きるのも最早慣れっこだ。
こんなのに慣れた所で嬉しくもなんともない。
そして相変わらず、自分は悲鳴を上げていた。
飛び起きると息は荒い。
思い出せば思い出すほどこの動悸は止まらなくなり、こうして目覚めても次々と記憶から掘り起こされてくる。
手元の時計を見ると、時刻はまだ深夜3時。
昨夜も睡眠薬を飲んだばかりだというのに、またもこの時間帯で目覚めてしまった。
「…………はぁ」
意識せず、思わず溜め息。
油ぎった汗を拭おうとシーツを顔に埋めた所で違和感に気づく。
「ぁ…………また……」
そう呟くとベッドから早々に降り、よたついた足どりで洗面所に向かう。
段差に躓きそうになって縁に手をやると、そこからまたも水が漏れた。
手で押さえながら俯きがちに洗面台に辿り着く。
ゆっくりと手を離すと、血漿と白血球の液がたらりと洗面台を打った。
しばらくそうやって中の水を出し終えて、手探りで髪留めを取って蛇口を捻った。
鏡を見ず、ひたすら水を顔に浴びせる。
痛みは無いが、違和感は消える事は無い。
暫く顔を冷やすが、一緒。
寧ろそこの部位が敏感になっただけだ。
最初のコメントを投稿しよう!