一:焼き付いた瞳

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「…ぅ……もう……いやあ、やめてぇっ……!!」 シーツを引きはがして飛び起きるのも最早慣れっこだ。 こんなのに慣れた所で嬉しくもなんともない。 そして相変わらず、自分は悲鳴を上げていた。 飛び起きると息は荒い。 思い出せば思い出すほどこの動悸は止まらなくなり、こうして目覚めても次々と記憶から掘り起こされてくる。 手元の時計を見ると、時刻はまだ深夜3時。 昨夜も睡眠薬を飲んだばかりだというのに、またもこの時間帯で目覚めてしまった。 「…………はぁ」 意識せず、思わず溜め息。 油ぎった汗を拭おうとシーツを顔に埋めた所で違和感に気づく。 「ぁ…………また……」 そう呟くとベッドから早々に降り、よたついた足どりで洗面所に向かう。 段差に躓きそうになって縁に手をやると、そこからまたも水が漏れた。 手で押さえながら俯きがちに洗面台に辿り着く。 ゆっくりと手を離すと、血漿と白血球の液がたらりと洗面台を打った。 しばらくそうやって中の水を出し終えて、手探りで髪留めを取って蛇口を捻った。 鏡を見ず、ひたすら水を顔に浴びせる。 痛みは無いが、違和感は消える事は無い。 暫く顔を冷やすが、一緒。 寧ろそこの部位が敏感になっただけだ。
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