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三:一時の……
今日はとても素晴らしい日です。
見つけました。
見つかりました。
願って、願って、願い続けて、そして半ば諦めかけようとしていた時でした。
私は今日という日を忘れないでしょう。
決して、どんな事があろうと。
しかし、ふと思うのです。
彼女と再開は出来ました。
それはとても尊く、素敵な事なのでしょう。
彼女と会うまでどれほどの月日が経ったのでしょう。
私も彼女も、変わってしまっていました。
けど、彼女は前より幸せそうな『匂い』をしていました。
芳しい血と膿の香りと、ちくちくした硝煙の臭いの中に、幸せが混ざってました。
甘く、柔らかな、けど『尖りかけた』、そんな匂いが。
…………私には、無い匂いでした。
自身の腕筋に鼻をつけても、血や、膿や、死の臭いを感じても、そんな匂いはありません。
嗅いでも、食欲しかわきません。
おかしいのです。
おかしいんです。
何故私は、私だけは、こんな臭いなのでしょうか。
…………まあ、いいです。
そんな事は今はどうでもいい事でしょう!
私は彼女とまた会えました!
運命は、私を見捨ててはいなかった!
ああどうしましょう、まさか本当に出会えるとは………!
何を話しましょう、何を聞きましょう、何を伝えましょう!
全てを話すには長すぎる気がするし、全てを聞くには彼女には辛いでしょう。
ああこの胸の高鳴りを押さえられない!
今すぐ皮膚を突き破り、鷲掴みにでもしなければ破裂しそうだ!
こんな気持ちはいつ以来だろうか………!!
…………少し興奮し過ぎました。
ついでに小腹も空きました。
また食べないといけません。
また食べないと………。
また…………。
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