タケダとジョナサン

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タケダとジョナサン

その日、ジョナサンは途方に暮れていた。 『笑イカタ ヲ 忘レタヨー』 貧しい家族への仕送りのため、遠い異国の地より出稼ぎに来たジョナサン。 ストレス? ホームシック? 『僕ノ家ハ コノ方角デス』 勤める自動車製造工場が見える寮の窓から、その空の向こうに故郷を想う。 『オ母サン…僕ハ モウ 心ガ 折レチャイソウデス…』 ジョナサンは母を深く、深く愛している。 母を想う気持ちは海より深い。 母を、兄弟たちを助けたい。 ただ、それだけの理由で頑張れた。 心を繋ぐのは、月に2回程度の手紙のやり取り。 ある日ジョナサンはゲームセンターに足を運ぶ。 ゲームはしない。贅沢だから。 ゲームセンターの店内で記念撮影。 その写真を家族へ送った。 その返事にジョナサンは笑みをこぼす。 「写真見たよ! カジノは凄くキラキラで楽しそう!」
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