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ジョナサンはどこまでも純粋だった。
笑顔を忘れた自分が悪いのだ。
笑顔を出せなくなったとタケダに相談し、タケダの助言を実行出来ず、その結果、タケダに悪い予言をされてしまったのだ、と。
自分が予言者と思われているとは知らないタケダが、ジョナサンの只ならぬ様子に気づく。
『お…おいおい、どないしてん?
ジョナやん大丈夫か?』
不意に捕まれた肩の手に、ジョナサンは拒絶反応を示す。
『具合悪いんか…?
昨日飲み過ぎたか?』
震えながら、ジョナサンは首を横に振る。
ジョナサンは思い返していた。
タケダは、予言者ではなく、悪魔かもしれない。
ここに来て間もない頃、
『そうかぁ、家族の為に出稼ぎ、しかもこんな遠くにねぇ!
でもあれやな、お母さんも心配で痩せてまうやろな!』
その3日後、弟からの手紙には、母が体調不良で体重が激減したと書かれていた。
またある日には
『マジで?ジョナやんちの近所にトラとかおるん?
そら凄いな~
今頃、弟達と格闘しとるんちゃうか!』
その数日後、本来なら村の囲いをまたぐハズのない野生のトラが村に侵入。
弟の一人が片腕を失った。
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