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―…
夕方。
観光も終わり、ホテルに戻るタクシーの中。
私の隣には、光ちゃんと優輝。
今日、一言も優輝と話してない。
昼間に一度、優輝から話しかけて来ようとした時があったけど、私のほうから避けてしまった。
明らかに避けあってる私たちに、光ちゃんも大輔くんも何かあったことは気づいているだろう。
けど、気を使ってなのか興味がないのかわからないけど、聞いてくることはなかった。
正直、聞かれなくて良かった。
聞かれたら…、何て答えればいいかわからない。
もうちょっとでホテルに着くって時。
「莉央。
今日の夜、風呂と夕食が済んだら、ホテルの庭で待ってるから。
…来いよ」
「………え」
耳元で、他の人には聞こえないような小さな声で囁いた優輝。
聞き返そうとしたけど、そっぽを向いて答えてくれる様子はない。
お風呂と夕食が済んだら、ホテルの庭に来い。
確かにそう言った。
ホテルの庭は、きちんと手入れされてて綺麗だけど、あまり人が来ないような場所にある。
そんなところに、…なんで呼び出すんだろ?
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