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初めて柚希と想いが通じ合った。
その嬉しさでいっぱいだった私は一番大きな疑惑を忘れていた。
「凛恋、会長がお屋敷にご到着されるよ」
「分かりました」
メイド長に促され、玄関までお出迎えに出る。
遠くに人影が見える。
その人影が目の前に到着したとき―。
「お帰りなさいませ」
「ただいま」
ゆっくりと頭をあげると、紳士的な初老の男性が立っていた。
「久しぶりだな、凛恋」
「お元気そうでなによりでございます」
会長が私にそっと微笑みかける。
何年ぶりかの帰宅なのに、会長はちっとも変わっていなくてなんだか安心してしまう。
「柚希様は書斎でお待ちでございます。どうぞ」
「あぁ」
私は会長と一緒に柚希の元へ歩いて行く。
この後、どんなことが待っているかも知らずに。
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