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寒い。
どれくらい寒いかというと、まじ寒い。
今年の冬は極寒で、ここ鹿児島も雪が積もったほどだ。
俺は煙草を吸いながら、窓の外を眺めていた。
ピルルル・・・
携帯に「亜依❤」と表示される。
またあいつか・・・。
俺はため息をついて携帯を手に取った。
昭「もしもし」
亜「もしもし、昭君?あのねっ、前話した圭太君が昭君のメアド知りたいって言うんだけど、教えていいかなっ?」
昭「別にいいぜ。っつか、んなことで電話すんじゃねぇよ。」
亜「やだ、冷たい~!亜依、泣いちゃうよぉ?」
昭「勝手に泣けよ。」
亜「むぅ。・・・じゃあ、教えるねっ!」
そこで、電話は切れた。
・・・うぜえ。
何が「むぅ」だ。
かわいくねえんだよ。
圭太とは、亜依の友達の彼氏だ。
彼女が処女じゃなかったとかで、もめているらしい。
俺だったら、彼女が誰のチンコくわえてようが特に気にしない。
ヤりてえなら、ヤればいい。
というか、俺が使えればどーでもいい。
そんなことを考えていると、また携帯が鳴った。
知らない番号だから、たぶん圭太だろう。
顔も知らない奴に電話してくるとは、なかなか肝の据わった奴だ。
昭「もしもし」
圭「もしもし。俺、圭太っていいます。亜依の友達です。よろしく。」
昭「おう、よろしく。なんか彼女ともめてるらしいな。生々しい話でも相談にのるぜ?」
圭「彼女かぁ…。その話は正直、聞かないでくれると助かる。相談は嬉しいけど・・・。」
昭「あぁ、そう。はぁー・・・」
圭「もしかして、昭夫君って煙草吸ってる?」
昭「よくわかったな。」
圭「煙吐き出す音したかんね。何吸ってんの?」
昭「マルボロ。」
圭「へぇ、すごいね。」
昭「何がすげぇんだよ。」
圭「なんか、かっこいいじゃん。」
昭「はぁ?かっこよかねぇだろ。・・・切るぞ。」
圭「うん。仲良くしようね。」
圭太との電話を切った後、また携帯が鳴った。
昭「・・・・もしもし。」
亜「もしもし。今・・・健一じゃない・・よね?」
昭「ちげえよ。何で?」
亜「圭太君に彼女の話したんでしょう?健ちゃんってほら、人の嫌がること大好きだから・・・。圭太君、彼女と別れたのに・・・あっ!」
昭「なっ・・・!?別れたのか!?先に言え、馬鹿女!」
亜「だって・・・(プツッ
俺はもう一度圭太に電話をかけた。
俺としたことが、無神経すぎたようだ。
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