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「準備が整いました。中へお入りください。」
スピーカーから無機質な声のアナウンスが聞こえた。それと同時に、頑丈そうな扉が開いた。適合試験が始まる。急に、身が引き締まるような感覚がした。自分が緊張しているという事がよくわかる。私はゆっくりと、中ほどまで足を進めた。
部屋の中心部、そこにあったのは神機が入った頑丈なケース。台にはフェンリルのマークが描かれている。
「長く待たせてすまない。」
男の人の声。私は斜め上を見上げた。訓練場にある唯一のガラス窓。ここの様子を見るために作られた監視室とでもいったところか。逆光で顔は見えなかったが、三人分の人影が確認できた。
「ようこそ、人類最後の砦『フェンリル』へ。君には今から、新型ゴッドイーターとしての適合試験を受けてもらう。」
心臓の鼓動が、早くなっていく。緊張して、体が固まってしまっている。私は、深く深呼吸した。緊張したときは深呼吸すると落ち着くから、と、ペイラー博士が去り際にぼそりといったのを覚えていた。
「少しリラックスしたまえ。そのほうがいい結果が出やすい。」
上から私が緊張しているのが見てとれたのか、先ほどよりは硬さのない声で、【彼】はいった。・・・確かに、ここに来てしまった以上、緊張しても仕方が無い。
「心の準備ができたら、ケースの前に立ってくれ。」
私は、覚悟を決めケースの前に立ち、目の前に置かれている神機に手を伸ばした。
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