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【彼女】はくすくすと笑い、言葉を続けた。
「言葉通りの意味ですよ。貴女は、記憶の鍵を手に入れたんです。ついさっきね。」
「記憶の・・・鍵・・・」
「そう。しかしまだ、貴女は鍵を手に入れただけ。どうやって記憶の扉を開けるかは、貴女次第。」
私は、記憶の鍵を手に入れた。けれど、扉の開け方を知らないとでもいうのか。ふと、【彼女】の後方に目を向けると、それまで見たことのない、巨大な扉が姿を現した。これが、私の記憶の扉なのか。
「貴女は、記憶の入り口に立っています。この先どうするかは、これからのあなたの行動次第ですよ。」
【彼女】がそれだけ言うと、辺りが輝きに包まれる。【彼女】との別れの時間。【彼女】は光の方へと歩いていく。
「待って!貴女の名前、そろそろ教えてよ。貴女は誰なの?どうして私にいろいろ教えてくれるの?」
叫ぶように、【彼女】に問うと、【彼女】はゆっくりと私のほうに振り向いた。
「そろそろ話してもいいですね。私の名は、【リオン】。リオン・ウォルクール。貴女の一番の味方・・・。」
最後の言葉が聞こえるか、聞こえないかくらいの響きを残し、私の意識は、再び途切れた。
【リオン】それが、【私】と【彼女】を繋ぐ名前・・・。
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