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しばらくして、
部屋のドアが開き
寝起きの男が出てきた。
「ねみーよーぉ……」
「頑張って!ほら行くよっ」
あたしはヤツの背中を押しながら
階段を降りる。
「おばさーん、起きましたー」
任務をヤツのお母さんに報告。
「やっと起きたのね、翔馬!ほら早くご飯食べなさい!」
「母ちゃん、味噌汁くれ~」
………なんてのんきなヤツなの。
あと5分で行かなきゃ
電車に間に合わないのに!!
その電車に間に合わないと
学校も遅刻なのに!!
そんなことを考えていると
おばさんに話しかけられた。
「栞ちゃんはしっかりしてていいわねぇ。翔馬のお嫁さんに来て欲しいわぁ♪」
「は、ははは!ご冗談を…」
「あら~冗談じゃないわよ!
おばさんはいつでも本気!」
そう言ってなぜか
ガッツポーズをなさる。
……謎すぎる。
「ん、ごちそーさん!
んじゃ行くわ」
教科書なんて入ってないと
見た目から分かる
薄っぺらい鞄を持ち、家を出た。
駅までは歩いて10分、
走って6分。
「…しおー、これ間に合わないパターン?」
「うん、間に合わないパターンだ」
よーしと言って、
持っていた鞄を背中に
背負っている翔ちゃん。
嗚呼、今日もか……
「うし!走るぞおおおっ!!」
「うおおおおおっ」
これでも一応女の子。
だけどこればかりは
つられて雄叫びをあげる。
これがあたしの毎朝。
いつも通りの朝。
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