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あれから毎日のように紙飛行機を交換し合った。
何もない、鎖された空間でそれは何とも眩しい程の光に見えた。
この監獄は特に厳しいと噂があり体罰もあるが、設備はある意味適当だ。
逃げ出すような事は出来ないものの、監視役の配置を大して徹底していないのだ。
一応メグ、という緑髪でゴーグルを付けた女の監視役がいる。
しかし何故か僕と女の子の紙飛行機は見逃してくれていた。
彼女曰く、
「人様の恋を邪魔できませんからね!だって脱獄しないんでしょ?」
だそうだ。
…いいのかなあ、そんなんで。でもまあ僕には好都合だからご好意は有り難く。
交換した紙飛行機に、お互いのことを書き合い、お陰で女の子の事が少し解ってきた。
近くに住んでいるという事、同い年だという事、僕と同じ気持ちだという事
そして
彼女のお父さんがここで働いているという事。
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「…―――ッ」
そしてまた始まる“体罰”
ほとんどが看守のウサ晴らしと言っていいだろう。
最近解った事は、囚人全てがこれを受けている訳ではないらしい。
いや、ほとんど受けていない。
僕と兄さん、その他数名のみだけらしいのだ。
勿論その人達は他の囚人からも色々な嫌がらせを受ける。
選ばれる条件は、その条件全てに当て嵌まる奴がなるらしく、それも
“刃向かって来なさそうな奴”
“好戦的ではない奴”そして
“顔が綺麗な奴”
最後なんなの、最後。
只の変態だよね。
そう考えていたら、最後の一撃が振る。
「ッぐ…!」
痛みに涙が零れるが、慣れてしまった。
慣れるという表現はおかしいかもしれないがそうなのだ。
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