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こいつは一体何者だ?
外に溢れる人が中に入らない様念入りに鍵は閉めた。
俺が受け入れなければこの家はずっと拒んだままのはず。
人が入れるわけが無い。
なら何故、ここに人が居る。
黙りこくる雰囲気が苦手なのか。
不審者をフードを勢い良く取り、深々とお辞儀をした後口を開いた。
「ゴメンね、君の思念が面白くって覗きに来ちゃった。後、私は人間じゃないんだ……死神?みたいな物かな?」
「ほう……」
俺は生返事を返し、思考を巡らせる
勇者は何をやってたんだ。
死神なんて魔の王みたいなもんだ、混沌を根絶したんじゃないのか?
――待てよ、死"神"
魔ではなく神の類か。
神?…だとしたら、神が今更何をしに来た。
「…君さ、私の仲間にならない?」
神の仲間…戯れのつもりか。
俺はこんな世界を野放しにした神を恨み続けてきた。
先程も説明した様に家族は俺以外死んだ。
食料と安住の地を求め、暴徒と化した人々によって。
元はと言えば神がほったらかしにしたこの世界のせいだ。
しかし、神の仲間。
神同様この世界も許せない俺に訪れた転機、逃す手は無い。
その瞬間脳裏に響く彼女が発した言葉。
―君の思念が面白くって―
思念…そうか、心を読めるのか。
つくづく思う、神は卑怯だと。
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