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寒い寒い冬の朝。
雪崩でも起こしそうなくらい大きな声で兄が叫んでいます。
「ニノ、おい、ニノ!」
「なに、兄ちゃん。」
「なにって、お前だけだぞ!魔法使えないのは!恥ずかしい!!」
そうなのです。
魔法は使えてようやく半人前。操りきれてやっと一人前なのですが、ニノは簡単な魔法さえ使えないので、村でも後ろ指をさされていました。
ですが…
「お嫁さん貰ってない28歳はもう兄ちゃんだけだよ。恥ずかしい。」
もちろん、ニノも黙って負けてはいません。
見事、お兄さんをKOしました。
兄の敗走を見届けると、ニノは昨晩から作っていたネコのぬいぐるみを作ります。
友達のいないニノは、中にネコの毛を入れて、パペットゴーレムという動くぬいぐるみを作りたいのです。
そこへ、お兄さんがお母さんを呼んでしまいました。
「ニノ、修行の旅に出なさい。」
「嫌。」
お母さんは反発的な息子にぷっちんときて、最低限の荷物と一緒に、ニノはつまみ出されてしまいました。
こうなっては仕方ありません。
ニノは諦めて修行の旅へ出掛けます。
森を抜けて、人間の住む街へたどり着きました。
魔法使いが嫌いな人間たちの街ですが、ニノは魔法が使えないので魔力探知機には探知されず、イジメも受けないので安心ですね。
さて、まずは一番近くの神社に行って風の神様にご挨拶をしましょう。
魔法が使えない魔法使いは神様に参拝して力をわけてもらうのです。
風の神社は険しい山の頂上にあります。
誰が何のためにそんな参拝しにくいところに建てたのでしょうね。
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