怪盗からの予告状

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とある美術館に、朝方から物々しい数のパトカーや警察が待機し、これから行われるかもしれない反抗に備えて手ぐすねをひいている。 数日前、この美術館に一通の手紙が届いた。無地の黒紙に白字で印字された文面に、館長は驚愕した。 【明日 ○○美術館の肖像画を頂戴する 怪盗K】 世間を賑わせている怪盗からの予告状だった。美術館には高額の肖像画が何点か存在している為、館長はすぐに警察に連絡をしたのだった。 「人海戦術で一網打尽にしてくれる」 ニヤリと笑い、現場を指揮する警部が呟く。 「本当に大丈夫でしょうか…」 隣に居る館長は、不安の為か警察達を忙しなく見渡しながら警部に尋ねた。 「御安心を。必ず捕まえてみせます!皆さんは通常通りに業務をなさって下さい」 高笑いしながら館長の背中を叩き、既に勝った様な雰囲気で警部は答えた。 「そうですか…。職員にも伝えます。私も出掛ける用事がありますので、信頼して失礼します」 釈然としない顔をしながらも、館長はその場を後にした。その姿を目で追いながら、警部は鼻息を一つ鳴らす。 「素人が。これで捕まらない訳が無いだろ。さあ怪盗ちゃん、いつでもお出で」 「遅い…まだか」 それから数時間が経ち、日も落ち始めた頃になっても自体は一向に進まず、怪盗も来る気配が無かった。 「さては怪盗、諦めたか?」 それは警部だけでなく、待機している警察全体に一致した考えであった。そして遂に閉館時間となる頃、警部の元に一人の警官が走り込んで来た。 「警部、大変です!」 「どうした!怪盗が現れたのか?」 「はい、やられました」 その報告に、一帯にいた警官達がざわつく。 「何?肖像画は奪われておらんぞ!貴様、さては怪盗か?」 そう言って、警官の顔を抓る。 「痛たた、違います。私は怪盗じゃ…。それに、ここでは無く館長の方に現れたそうです」 「何いぃ?」 全く訳の分からない風に警部は聞き返す。 それから美術館に館長が帰り、事態を説明する事になった。今日は絵の買い付けで出掛けた時、マントを羽織った男に襲われ眠らされてしまい、用意していた金を奪われてしまったという事だった。そして、金の代わりに予告状と同じ仕様の手紙が添えられていたというのだ。 「これを…。忌々しいですよ…」 そう言って館長は手紙を警部に渡すと、警部は手紙を開く。 【肖像画確かに頂きました 福沢諭吉のね 怪盗K】
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