5人が本棚に入れています
本棚に追加
「あのう……」
しばしの沈黙の後、私はそろそろと口を開いた。
「あなたはもしかして、プレゼントが完成してしまうのが怖いのでは?」
とたんに青年は、なぜ分かったんだ? というようにぽかんと口を開けて私を見た。
「プレゼントが手に入ったら、それを彼女に渡して告白する。その瞬間を迎えることが、怖いのではないですか?」
「………!」
口をぱくぱくさせる彼の頬が、みるみるうちに真っ赤になっていく。
図星か、と思うのと同時に、やはりかわいいなと感じた。
──なんて素直で分かりやすいんだろう。
「でも、そんなことでは、いつまで経っても気持ちは伝わりませんよ?」
「は、はい……そうですよね……」
片手で口元を覆うが、真っ赤に染まった頬は隠れきれていない。
私はつい声をたてて笑ってしまった。
「勇気を出して。きっとうまく行きますよ」
「はあ……」
うろたえる彼に、私はひとつの提案をした。単なる思いつきだけれど、それはとても良いアイデアのように思えた。
「メッセージカードを付けてみたらどうかしら?」
.
最初のコメントを投稿しよう!