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なんでこの人はこんな事をわざわざ周りに聞こえるように言ったんだろう・・・ ああ、なるほど・・・この人は私を庇ってくれたのか。 私が下を向いて赤くなっているところを、一番近くで見ていたのはこの人だしね。 勝手に変な人と決めつけていたけれど、この人は見た目より全然優しい人なのかもしれない―。 無意識にその人を見つめていたら目が合ってしまった。 思わず全力でそっぽを向いてしまう。 あー・・・ちゃんとお礼とか言えるような性格になりたい・・・そんな事を考えていた。 「あのーよければこれ食べません?」 驚いた事に向こうから話しかけてきた。 いつの間に取りだしたのか、手に持ったみかんをこちらに渡そうとしながら・・・ 「・・・へあ?」 状況が掴めず真っ白な頭で変な返事を返してしまった。 これまた恥ずかしい・・・ よく見るとその人はマフラーの上からでも笑っているのが分かった。 この人は私の事を心配してくれていたのかな・・・ 周りからは私は変な人に絡まれた一般人という風に見られているのかもしれない。 ただ私は、そんな変人扱いされている事を気にせず、私の心配をしてくれるその人が単純に凄いと思った。 「あ、ありがとうございます・・・」 みかんを受け取った私に満足したのか大きくウンウンと頷く。 リュックから手慣れた動作でもう一個みかんを取り出し自分でも皮をむき始める。
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