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「はぁー。やっと買えた・・・」
マトモに喋れなかった事は一旦忘れて、目的の物を買えた事に対する安堵感が一番大きかった。
そういえばミカンはちゃんと買えたのかな?と店の方を見てみると―。
「アレ・・・誰だよ・・・。」
思わずそんな言葉が口から漏れた。
服装からしてもミカンに間違いないのだが、赤いニット帽を今は取っている。
さらさらのロングの黒髪の美人さんが今まさに商品を貰って喜んでいる所だった。
あっくんとギュっと握手を交わしてこちらに向かってくるのが見えた。
「イチカー。目的の物買えた?あっくんと喋れた?あたし全然喋れなかったよー。」
「あ、私も全然喋れなかった・・・。てかミカン・・・ニット帽取ると別人過ぎっ。
あっくんと喋れなかったのもショックだったけど、そっちのがデカかったよ。」
「何それー。」
意外なほど自然に言葉が出てきた自分にびっくりした。
もっと何も言えなくなると思っていたのに、
今日初対面の人にこんなにも楽しげに喋れている事に。
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