第1話 臆病少女

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神社-。 背の高い竹林に囲まれた中で、赤い鳥居はよく映える。 本堂へと続く石畳の中央。 そこに、水色のレインコートと長靴を身につけた少女がいた。 雨でもないのにその姿はよく目立ち、手には手鞠、そして神社というシチュエーション。 不思議と、何か神秘的な空気を感じさせる少女。  シズク 「雨。」 歳は7、8歳くらいだろうか? 里菜が呼ぶと、気付いたその少女は目を輝かせる。 「りな!きてくれたんだな?おそかったじゃないか。」 「うん…。そうね。」 「やくそくは12時だっただろう?なにかあったのか?」 「ううん、ごめんね。」 里菜は優しい笑みを見せる。 …分かっている。約束なんてしていない。 いつものことだ。  
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