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「翔太…。」
スポーツ刈りの短い茶髪。
白目の大きな瞳に、大きな口、耳。
輪郭はシャープだけれど、顔のパーツは全て大きめの少年。
背も高く、筋肉質。
歳を追うごとに段々と男らしく、角ばった身体にはなっているけれど。
無邪気な笑顔と、やたら白い歯だけは変わらない。
鬼佐翔太。
隣の家に住む同級生。
そして彼も霊能力者の家系に生まれてきた人間だった。
「相変わらず暗い顔やなあ。また麻百合さんに何か言われたん?」
神矢家の家を囲む塀の上に座りながら話す翔太。
マ ユ リ
麻百合とは、母の名前だ。
相変わらず、翔太は妙に鋭い。
「うるさいわね…。なんでもないわよ。」
「また言われたんやろ?“どうして実戦に弱いのかしら?”って。」
「うるさいっ!!」
思わず里菜は叫んでしまった。
言い当てられたことが悔しい。
勉強はできない癖に、どうしてこういうことは分かるのだろう。
「図星やな?まあ麻百合さん、エリート思考やからなあ。
気にすることないやろ。」
「気にしてないわよ。…いつものことだし。」
言ってから、少し後悔した。
“いつものこと”。そう言い切ってしまう自分が嫌だ。
本当は、早く成長しなければいけないのに。
翔太と里菜の決定的な違いは、未だ修練場に篭りきりの里菜に対し、翔太はもう任務に出ているということだ。
同い年なのに…。そこが悔しくなる。
翔太自身は何も言わないけれど。
「なあ、優斗知らん?家におらへんねん。」
「え?知らないけど。」
里菜の返答を聞き、少し困った顔をする翔太。
先程から探していたのだろう。
私に声をかけてきたのも、それが目的だったと分かる。
「そっか…わかった。他、探してみるわ。」
「うん。」
手を振りながら、里菜の視界から翔太は消えた。
…はあ。
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