第1話 臆病少女

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『里菜、どうして彼氏作らないの?かわいいのに。』 修練服である道着から、Tシャツとジャージというラフな格好に着替え、鏡を見ながら髪を結ぶ。 下ろすと腰まである長い髪を、ポニーテールに結ぶ髪型は幼い頃から変わらない。 何故か鏡を見ないと結べないのも変わらない。 もう慣れているはずなのだが。 “かわいい”と、学校の友人である紗季に言われた時は、本当に嬉しかった。 たとえお世辞でも、嬉しかった。 髪を結び終え改めて鏡を見ると、そこには自分の顔がある。 化粧は面倒くさくて未だしたことがない。 紗季が言うには、それでも私は綺麗らしい。 …本当にかわいいのかな。 娘が言うのも何だが、母の麻百合は美人な方だ。 その血を引いている訳だから、私も…。 だがやはり、自分の顔を客観的に見るのは難しく、結論は出ない。 二重の目。 鼻が高く、下唇が厚めなのは自覚している。 肌も白い方だとは思う。 だけどやっぱり…見飽きたな。 当たり前ではあるが。  
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