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『里菜、どうして彼氏作らないの?かわいいのに。』
修練服である道着から、Tシャツとジャージというラフな格好に着替え、鏡を見ながら髪を結ぶ。
下ろすと腰まである長い髪を、ポニーテールに結ぶ髪型は幼い頃から変わらない。
何故か鏡を見ないと結べないのも変わらない。
もう慣れているはずなのだが。
“かわいい”と、学校の友人である紗季に言われた時は、本当に嬉しかった。
たとえお世辞でも、嬉しかった。
髪を結び終え改めて鏡を見ると、そこには自分の顔がある。
化粧は面倒くさくて未だしたことがない。
紗季が言うには、それでも私は綺麗らしい。
…本当にかわいいのかな。
娘が言うのも何だが、母の麻百合は美人な方だ。
その血を引いている訳だから、私も…。
だがやはり、自分の顔を客観的に見るのは難しく、結論は出ない。
二重の目。
鼻が高く、下唇が厚めなのは自覚している。
肌も白い方だとは思う。
だけどやっぱり…見飽きたな。
当たり前ではあるが。
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