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「姉さん、優斗君が来ましたよ。」
鏡に映る自分の顔としばらく睨めっこしていたら、部屋の扉が開き、弟が現れた。
相変わらずの妙な敬語。
今は慣れたので気にしないが、家族にこんなに丁寧に話す人間も珍しいだろう。
「優斗が?なんで?」
「さあ…。用件があるとかで…。」
自分より頭一つ分程大きな弟は、天井を見つめて首を傾げた。
図体はでかくても、顔はまだあどけない。
こう見えて、まだ15歳だ。
里菜もつられて首を傾げながら、弟の横を通り抜けて部屋を出る。
ナ ツ
「ありがとう、奈津。」
「いえ。」
お礼を言うと、奈津は静かに微笑んでいた。
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