第1話 臆病少女

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「姉さん、優斗君が来ましたよ。」 鏡に映る自分の顔としばらく睨めっこしていたら、部屋の扉が開き、弟が現れた。 相変わらずの妙な敬語。 今は慣れたので気にしないが、家族にこんなに丁寧に話す人間も珍しいだろう。 「優斗が?なんで?」 「さあ…。用件があるとかで…。」 自分より頭一つ分程大きな弟は、天井を見つめて首を傾げた。 図体はでかくても、顔はまだあどけない。 こう見えて、まだ15歳だ。 里菜もつられて首を傾げながら、弟の横を通り抜けて部屋を出る。        ナ ツ 「ありがとう、奈津。」 「いえ。」 お礼を言うと、奈津は静かに微笑んでいた。  
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