これですね、はい。

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昼休み、紫南は一人で図書館に来ていた。 読書をしている者、昼休みだというのに勉強をしている者など、いろんな生徒がいた。 中には教員もいた。 なので、図書館はとても静かで、足音だけが妙に響いていた。 (えっと、お菓子お菓子…。) 紫南はフランスのお菓子の調理本を探していた。 お菓子作りや料理が好きな紫南は、氷帝の図書館で調理本を探しては家で作り、菜海やクラスメートにあげていた。 人気は抜群で、すぐに無くなってしまうのが当たり前だった。 それで今度は、フランスのお菓子に挑戦しようと、図書館に足を運んでいた。 (お菓子…フランス…お菓子…) お菓子とフランスを頭の中で何度も呟きながら本棚に並ぶ大量の調理本を見る。 「ないな~…ん?」 ふと上を見上げると、そこには〔人気フランス菓子の作り方〕と在り来りな題名の本が目に入った。 「あった。」 だがその本の位置は、紫南が手を伸ばしても届かない位置にあった。 (何で高い本棚を選んだかな。) 本をたくさん置くためで、当たり前だ。 紫南はそんな事より、脚立が周りにないか見渡した。 しかし、脚立らしき物は見付からない。 「背が低いのがこういうとこで憎まれるんだよね~。」 ガクッと肩を落としてから、また本を見上げ、どう取ろうか考えた。 (脚立を探すしかないかな~。 でもこんな広い図書館だと、脚立を見付けるの大変だよね~。 はっ! 図書館といえば、よくイチャつく場所として使われる!! 静かな図書館で、受けは声を出さない様に必死になる姿が、更に攻めを誘うんだよね。 もしかしたら、この図書館のどこかでも行われてるんじゃ!!) 完全に考えがそれてしまった。 いつもなら早い内に菜海が止めに入るのだが、一人の今、止めに入る人はいない。 まず、紫南の考えが分かる者などいない。 あ、菜海しかいない。 そんな紫南に、一人の男が近付いていた。 、
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