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(あの人は、何をしているんだ?)
偶然、紫南のいる本棚の近くを通りかかった男、日吉若は、周りをキョロキョロ見渡した後、再び本棚の上の方を見上げた、今度は一人百面相の様に、困ったり、閃いたり、笑ったり、そわそわしたりする紫南を不思議そうに見た。
(確か、クラスの奴らが良く騒いで話してる先輩だよな。)
日吉は思い出しながら、小さくため息を吐いて、紫南に近付いた。
「何してるんですか?」
そう聞くと、かなり驚いた様子で、紫南は日吉を見た。
紫南は、自分より15cmは高い背の日吉を目の前に目を丸くした。
(ツンデレ日吉君だ!!)
日吉はまた不思議に思いながら、再度聞いた。
「何してるんですか?
上の棚を見てましたけど…。」
「あ、本が取れなくて…。」
紫南は慌てて答えると、日吉は「どれですか?」と、再び質問をした。
「フランス菓子の作り方…」
「フランス菓子…」
日吉は本棚に目を通し、すぐにその本を軽々と手に取った。
「これですね、どうぞ。」
日吉は取った本を紫南に渡すと、紫南は受けとって、深々と頭を下げた。
「ありがとうございます!!」
こんなに礼儀正しくお礼をされるとは思わなかった日吉は、驚いてすぐに頭を上げるように言うと、紫南はキョトンとした顔をして顔を上げた。
「先輩、ですよね?
俺二年なんで。
だから、そんな礼儀正しくしなくても…。」
「いやいや、お礼は礼儀正しくしないと。
とにかく、ありがとうございます。」
今度は頭を下げる変わりに、満天の笑みをして言った。
「!!////」
「それじゃ、本当にありがとね、日吉君。」
「え、俺の名前…////」
行っちゃおうとする紫南を言葉で止めた。
紫南はクルッと振り返って、再び笑顔で言った。
「だって日吉君可愛いもん♪」
そう言って、今度こそ行ってしまった。
「可愛いって…嬉しくないんですけど…。」
(しかし、あの日本系美人な顔をして、あんな無邪気な笑顔…反則だろ…////)
日吉はしばらくその場に固まって動けなかった。
そして
「また、話したいな…」
これが恋の芽生え。
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