プロローグ/約束

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☆         ☆  顔にかかる日光と小鳥の囀りで目を覚ました門川実(みのる)は、自分の腹部にかかる影に気づいた。 「みぃいいいいいいのぉおおおおおおおおおにぃいいいいいいいいいいい!」  黄色い声に眉をひそめながらも視界に映るは――果敢に空中殺法を仕掛けてくる妹の姿。 「――いッ!?」  とっさの回避を試みるも時すでに遅し、実はあえなく必殺のフライング・ボディプレスの餌食となった。  何も入っていない腹に一撃必殺の衝撃、吐くには十分すぎる条件だ。 「おぶぇ……」  目に涙をためながらも、必死に吐くことだけは堪える。  さすがにもう慣れたもので、咽こむだけで大事は逃れたようだ。 「行(ゆき)ぃ…………てめぇ」  ゴンっ 「あたっ!」  お返しと言わんばかりにグーで妹の頭頂部に打撃を二発。 「あはは、みの兄おはよー!」  しかしこの少女には痛覚がないのか、何食わぬ顔でいつものように朝のあいさつ。  このいかにも快活そうな少女は実の妹、門川行である。 「あのなぁお前、華の女子中学生が一撃必殺自爆覚悟のプロレス技で兄を起こすかね?」  可愛い妹の胸元に目線を向け、実はため息。  最近ようやくセーラー服の胸部を押し上げるに至った胸はまだまだ成長のポテンシャルを十二分に秘めている。  それ故、余計残念に思えてならない。  ――もう少し慎みなさい。
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