第三章/追跡

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☆            ☆ (…………?)  言の纏う雰囲気が一変した。急に気弱になったような、身体がただでさえ小さいのに一層小さく見える。  渦山は歓喜に相好を崩す。そして確信する。  向こうが何を考えているのか不明だが、少なくとも今は何もできそうにない。 (もらった……)  もう一回舌舐めずり。  頭の中で、いかにして幻覚を見せるのかイメージを膨らませる。  どうしようか。  犯そうか。  底の見えない奈落を永遠に落下させてやろうか。  獣にその四肢をもがせようか。  戦場へ放り込んで終わることない拷問をして辱めてやろうか。  コンクリートで生き埋めにしてやろうか。  暗闇の中で物音だけを不気味に立てて心を発狂させてやろうか。  ――嗚呼。夢が広がる。  考えるだけで身体が悦び、恍惚とした表情が意図しないままに露呈する。  ――よし、犯そう。心も身体もボロ雑巾になるまで凌辱して、実際は絶頂に行けないことに涙して俺に懇願するまで幻覚の中で輪姦しよう。そして最後は俺の手で絶頂させてやろう。  あと、一分三十秒。
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