第三章/追跡

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「?」  勿論比喩である。  矢にも似た何かが、確かに渦山のこめかみに刺さったのだ。  予期せぬ邪魔に心証を害した渦山は言に対する攻撃を直前で中止し、ぐるりと周囲を見渡す。  発信源は一人の女子生徒だった。制服を着ていることから生徒で合っているだろう。  舌打ちをして再び言へ。  そして刺さる、矢。    今度は右肩。 (どういうことだ……?)  次第に増える矢たち。  もう一度冷静になって周囲を見た瞬間――  車両内の女性全員が、自分を見ていた。
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