プロローグ/約束

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「マジ!? 約束ね!?」 「はいはい。約束――」  言いかけて、ふと頭に何かが引っ掛かるような、微妙な違和感を覚える実。 「ん、どしたの? みの兄?」 「……いんや。なんでもない」  声を掛けられたことで我に返り、絡まった思考を一時脳から離脱させる。 「そ、じゃあ……もう朝ごはんあるからね?」 「へいへい」  曖昧に返事をして、実は制服へと着替える。  緑色の生地にチェック柄が入っているズボンやスカートは他の高校生からも『可愛い』や『格好いい』と評判の品だ。  男子の上着はブレザー、女子はセーラー服のスタイルが一般的であり、しかしそれを律義に着る生徒は半々なのが現状。  実の通っている高校は校則が緩く、そのために私服通学も許可されている。そのため、息抜き程度に私服を着ている生徒もいれば、私服でしか来ない生徒すらいる始末。いささか自由すぎる気もしないでもない。 (ま、俺は制服派だけどな……)  別に制服に対して特殊な性癖があるわけでもなく、ただ単にいちいち着ていく服を考えるのが面倒なため、一番無難な制服をチョイスしている。
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