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退屈だな。
通いなれた通学路を歩きながら、制服姿の少年──江崎雷鳴[えざきらいめい]は溜め息をついた。
車が排気ガスを撒き散らかす道も、電信柱に止まるカラスたちの鳴き声も、雷鳴と同じように帰り道を歩く学生たちも…親が稲光のように強く輝いて欲しいとつけた“雷鳴”という自身の名前でさえも、彼にとっては【クダラナイ】ものでしかない。
つまらない。
つまらない。
つまらない。
こんな世の中も、自分も。
彼はクラスで浮いていた。
高校一年生という中学を卒業したばかりの学年である雷鳴のクラスメートたちは、世間からすれば年相応でも、彼からすれば【幼稚】だ。
毎日毎日クラスメートたちがバカみたいに騒ぐ中、雷鳴だけは冷めていて、人を寄せ付けず、誰とも関わらなかった。
そう、言うなれば刺激が欲しかった。
つまらない日常を覆(くつがえ)す、刺激が。
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