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「これは…!!」
村に入るとリエルはすぐに惨状に顔を歪めた。
家屋の壁は崩れ、所々では村人達が倒れている。
「ベチアおばさん!」
その中によく知っている顔を見つけて、駆け寄る。
「おばさん!しっかりして!」
「リエル…ちゃん、無事、だったんだね?」
「何があったんですか?誰が、こんな」
思わず息を詰まらせた時、ベチアの視線がリエルの後ろ―レイドの方へ移されたのがわかった。
「おばさん?」
「あんたが、あんたが、この村に来なければ…。もっと、早く、出ていってくれさえすれば、こんなことに…は、…ならな…」
「おばさん?ベチアおばさん!」
ゆっくり目を閉じていくベチアの名を呼ぶ。しかし、その目は開かなかった。
「…ベチアおばさん?こんなことって…」
目の前に横たわる身体を見て力なく呟く。
両親が忙しく王都の研究所にこもるようになり、兄が旅立ってからはベチアはリエルのもう一つの家族だった。
そのもう一つの家族が息絶えている。
それがまだ受け入れられなかった。
「ドオォン」
「!?」
その時、村で大きな音が響き渡った。
その音にはっと顔を上げる。
「今の音、村長の家の方だ!」
「!!行くぞ!」
レイドに頷き返し、リエルは走りだした。
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