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「村長!」
村の中で一番大きな家の前まで行くと、怪我をしているのか肩から血を流している男が背後に女性と子供を庇っていた。
その三人の前には巨大な斧を持った見慣れない大男が一人。
その男が斧を振り上げるのを見て、リエルは声を上げた。
「やめ…」
「やめろ!シェダル!」
「えっ!?」
自分の声を掻き消すようなレイドの声にリエルは彼を見たが、大男が此方を見たのもあり、視線を戻した。
「何だ?やっぱ、この村にいたんじゃないか?なぁ、裏切り者?盗んだ宝珠の欠片、渡して貰おうか?」
「断る!俺はお前達の考えに賛同出来ないし、あいつの言いなりになるのは御免だ」
「だから、宝珠の欠片を盗んだってか?俺達がやっと手に入れた欠片をよ」
そう言いながら、シェダルと呼ばれた大男は斧を村長達に再び向けた。
「渡さないなら、こいつらがどうなっても知らないぞ」
「その人達は関係ない」
「関係あるかないかはこっちが決める。お前を匿った時点で、…こいつらは同罪だ!」
「魔神剣!」
振り下ろされそうになった斧にリエルはシェダルの足下目がけて剣圧を放つ。
「今のうちに逃げて!」
一瞬出来た隙にリエルは叫んだ。
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