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「…死んだの?」
「いや、気絶しているだけだ。どっちも急所を外している」
何とか身体の震えがおさまり、シェダルに近付いていくと、反対側からレイドがそう言いながら近付いてくる。
「傷、開いちゃったね」
その手が血の滲んでいる腹部を抑えているのが目に入り、言う。
「リエル」
その時聞こえた声に振り返ると、そこには村長と他に数人の村人の姿があった。
「村長、みんな…っ!」
リエルの顔に何か硬い物が当たる。
そこから血が滲むのがわかり、視線を落とすとそこには大きめの石。
「おい!」
それに気付いて声を上げるレイドを制して、視線を村人達へ戻す。
こちらを見る村人達の目は冷たい。
「出てけよ!お前等がいるから、この村は襲われたんだ!」
「《光の使徒》に目を付けられるなんて最悪だ!リエル、お前のせいだぞ!」
「リエル」
村人達を制止し、村長が口を開く。
「今すぐ出ていってもらおう」
「村長!でも」
すぐにというのは急すぎた。それにレイドの傷が開いてしまったのも気になる。
「せめて、今夜一晩だけ」
「駄目だ!荷物を纏めたら、すぐに出ていけ!」
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