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リッツェル湖の森を抜けてリオーラ村に二人が着いたのは、野営していた所を出発して三時間後、丁度昼くらいの時間だった。
「出ていけっ!」
「痛っ!」
宿の主人に思いっきり突き飛ばされて、リエルは地面に尻をつく。
「てめぇらみたいな疫病神、泊めるかよ!」
そう言い、思いっきり扉を閉められてリエルはゆっくり立ち上がりながら溜め息をつく。
(やっぱり話が広まっちゃってる)
医者にも門前払いされたのを思い出す。
それどころか道具屋などでも売ってもらうことが出来なかったのだ。
「リエル、大丈夫か?」
「あ、うん。大丈夫…」
そうは言っても拒絶され続けるのは結構堪えていた。
「仕方ないな。ここも早々に出た方が良さそうだ。お互いに、な」
言いながらレイドが腰に下げている剣の柄を掴む。
それを見て、リエルも自分達が囲まれているのに気付いた。
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