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〈リッツェル湖〉
「んー、気持ちいい」
村を出てすぐ近くの森へと入り少し進んだところにある湖まできて、リエルは大きく伸びをした。
両親は宝珠の研究の為、暫く王都から返ってこない。
兄は世界を旅してまわっていてやはり帰らず、幼なじみのセレアも都市へ勉強に行き、手紙のやり取りだけ。
いつ帰って来るかもわからない家族の為、家を空けることが出来ないことを不満に思ったことはない。
だけど、一人が寂しくないわけでもない。
だから幼い頃、両親や兄とよく来たこの〈リッツェル湖〉を見ると、寂しさは自然となくなっていた。
「さてと、そろそろ帰ろうかな?」
暫く湖を眺めていたものの日が少し傾いてきたのに気付いて、座っていた岩から立ち上がる。
そして踵を返そうとして、ふといつもと様子が違うのに気が付いた。
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