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来た時と風向きが変わったせいか、今になって気付く。 (血の匂い…こっちだ) 少し警戒しながらその方向へ向かう。 この湖の周りには魔物はそんなにいない。 だがそれはあくまでも昼の話だ。夜の闇の中ではどんな危険があるかはわからない。 村から近くても魔物が出るため、リエル以外の村人がこの場に来ることはあまりない。 「えっと、こっちの方…!?」 辺りの気配を感じ取りながら歩いてくると、血の匂いが強くなった。 足を止め辺りを見回すと、木にもたれかかるように倒れている人が目に入った。 「大丈夫ですか!?」 慌てて駆け寄り声を掛けるも反応はない。 「っ、酷い怪我。とりあえず」 着ていた上着を脱いで、一番出血の酷い部位を止血する。 その他の傷も森にあったもので応急処置をしたところで手当てした人物を見た。 (年は同じくらいかな?身長差はあるけど、連れていけないほどじゃない) そう思いながら、青年の腕をゆっくり肩にまわすと立ち上がった。 「少しだけ我慢してね」 聞こえていないとわかっていたが、そう呟いてゆっくりと歩きだす。 魔物が活発になる前に村へ帰らなければならなかった。
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