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「う…ぅ…」
温かい…
誰かが手を握ってる…
何だかちょっと前にも同じような感覚を感じた気がする…
「陽太さん…」
「う…」
「陽太さん!」
この声は…
「陽太さん!!」
最近よく聞く声だ…
「リリナ…さん?」
そうだ…リリナ…さん…だ…
「陽太さん!大丈夫ですか!?」
大丈夫じゃないよ…
「大丈夫…です…」
陽太は頭痛をこらえながら返事を返す。
生きてる…ホントに生きてる…
それに家…だよな…
川原で倒れたはずなのになぜか家のベッドに寝かされている陽太。
「よかった…‥」
リリナの声が震えている。
泣いてるのか…?
視界がぼやけてリリナの顔がよく見えない陽太。
「大丈夫です…」
とりあえず大丈夫であることを再度伝えてみる。
泣かせたのか…?
「わかってます…」
そう言ったリリナは手を強く握ってくる。
「わかってます……‥」
リリナはうつむきながら同じ言葉を繰り返す。
心配かけた…よな…
陽太はリリナの手を強く握り返す。
「ごめん…」
「………」
リリナは何も言わずにゆっくり立ち上がる。
「オババ様を読んできます…」
そう言い残しドアを開けて外に出ていくリリナ。
…悪いことしたな…
後でちゃんと謝らないと…
陽太は目を閉じて自分の身に起こったことを思い出す。
確か人影を追いかけて…
森で迷って…
川原で気絶して…
「こんにちは~」
聞き覚えのある声とドアを開ける音が陽太の思考を遮る。
この声は…
「レイミアさん…」
そこにはリリナの母親レイミアがいた。
母親と言ってもリリナと違い下半身は蛇のようになっていて、長い髪はこれもまた蛇のようにしなっている。
しかし、リリナさんの容姿は100%母親似だ、これは断言できる。
父親から受け継いだものは植物であることと天然であることだけだ。
「陽太君、元気~?」
「…元気に見えますか?」
陽太は上半身を起こして話をする。
「その様子だと大丈夫そうね。」
レイミアは笑みを浮かべてさっきまでリリナが座っていたイスに腰をかける。
リリナさんもそうだがこの体でイスに座れるだからすごい。
陽太はまじまじとレイミアを見る。
「残念ながらお見舞いの品はもってきてないの~」
視線に気付いたレイミアは手を振って何も持っていないことをアピールする。
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