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'今日はなにもなし'っと
えーっと…今日で"7日目"…一週間か…
陽太は今日1日の日記を書き終える。
顔を上げればそこには"キレイでかわいい少女"が楽しそうに同じ日記に今日あった出来事を楽しそうに書いている。
不意に少女が顔を上げる。
「もう書いたんですか?」
「ああ、うん、一応…」
まさかこんなにキレイでかわいい少女を"嫁"にもらえるとは夢にも思わなかった!!…‥
…と、言うのは100パーセント前向きの"考え"だ。
実際は肌の色は緑で下半身は植物、頭には蕾が乗りどれもこれも体にしっかりくっついている。
しかし、それらを除けば、髪は長くてサラサラで眼はアニメのキャラのような綺麗な赤、いつでも甘いにおいを漂わせ、性格だって優しい。
…でも…
「陽太さん?どうしたんですか?」
「…大丈夫です。リリナさんは書き終わったんですか?」
「ハイ♪終わりました♪」
…そう簡単に壁は越えられない…
…リリナさんは自分を"助けるため"に結婚してくれた…
だから俺が好きって訳じゃない。
それにこの世界から帰る時にリリナとは別れなくてはいけない…
"何かを代償にして"婚姻を破棄しなくてはいけない。
「陽太さん、そろそろ寝ましょうか♪」
「そうですね…‥寝ましょうか。」
…もし…
もし、お互いがお互いに好きになっても決してハッピーエンドにはならない…
まあ、そんなことはあり得ない話だと思う。
リリナさんはそう言うのに疎そうだし、自分自身"好き?嫌い?"の駆け引きは当分懲り懲りだ。
今はいつ帰れるのかを心配していればいいと思っているし。
…それにしてもついてない、どうせなら"ドジでかわいい魔法少女が召喚に失敗してこの世界に引きずり込まれた"なら悲しみも半減する気もしなくはないが…
引きずり込んだのはカメのおばあちゃんで、見渡せば周りは魔物だらけだもんな~…
「…陽太さん…また端で寝るんですか?」
リリナが寂しそうに話しかけてくる。
「えぇ、ハイ…」
思春期の少年をそんな純粋無垢な言葉使いで誘わないでください!
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