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「ん?」
最初にその影に気がついたのは上條だった。
「サーフ、ヘルメスさんは本当にこのクエストをクリアしたんだよな。」
「あぁ。サーバーのクリア履歴も見せてもらったから間違いないよ。」
「じゃあさ…何がでるかぐらい知ってるはずだよな。」
「確かに。」
「もしかして…………ここがヘルメスさんがぶっ壊したクエストか?」
「だったら何が出てくるかわからないことが納得できるね。」
二人がのんびりはなしているうちにビルの間の影という影から次々と黒い人影があふれ出てくる。
「じゃあ、正規でこのクエストに挑戦するのは俺たちが初めてだな。」
上條はニヤリと笑う。
「テンションがあがるのは分かるけど、来るよ。」
サーフの言葉を合図にしたように影達がユラユラと動き始める。
「OK。行くぞ、相棒。」
そういって担いでいた大剣をふつうの両手剣のように構えた。
〈YES、master!〉
それに答えるように剣から声が発せられる。
「僕らもいくよ……グングニル。」
〈うぬ。了解だ、サーフ。〉
サーフの手にはいつの間にか彼の背丈ほどの槍が握られている。
〈若輩者には出番はやらん。サーフ、あれやるぞ。〉
「わかったよグングニル。」
サーフは何でこんなに扱いにくい奴ばかりとぼやきながらグングニルを掲げる。
「〈ホーリー・ジャッジメント〉」
二つの声が重なり瞬時に影をすべて取り込むような大きな魔法陣が展開する。
ピシャ
ズズン
魔法陣が光ると幾つもの電撃が地中から影達をおそう。
それはしばらく続き、終わった時には二人の周りはドーナツ型に破壊されていた。
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