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「じゃあ、気を取り直していくぞ、サーフ。」
「あぁ。」
サーフの言葉を合図に上條が街のできるだけ暗いところを目指して走り始めた。
「よし、じゃあ僕も行こう。」
サーフも顔を真剣にして足早にネオンで照らされた道を歩きだした。
カッカッカッ
暗く細い道に靴音が響く。
ハァハァハァ
駆けていくのは大剣を背負った男、上條。
息が切れている上條はかなりつらそうだ。
その後ろを音もなく追いかけるのは闇の中でもさらにさらに濃くしたような闇の固まり。
上條は振り向き影がついてきているのを確認している。
〈master~…頭がぁ……。〉
上條の背中では大剣がまだ痛みを訴えている。
上條はそれになんの反応も見せることなくまた闇の中を走り出す。
やがて闇が終わりそこそこ広い大通りに出る。
上條は後ろにどこからか取り出した銃を撃つ。
パンッ
それはビルのコンクリートを少し削り取る。
しかし、その傷は上條を追っている影によって塞がれる。
上條はそれをみると通りの中ほど間で走って行くと影の方を向く。
影はちょうど上條を追う形で通りの地面に奇妙な水たまりのような影の固まりを落としているところだった。
上條はそれをみてニヤリと笑う。
「サーフ!頼む!」
「了解。輝け……ライトニング」
上條が叫ぶといつの間にかビルの屋上にいたサーフが影を囲むように魔法を放った。
カッ
みるみる影が小さくなり、それと同時に影が立体的にせり上がっていく。
そして、影がほとんどなくなった時、道の真ん中には黒いフードをかぶったマントの人間が現れた。
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