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【昼休み】
「千里。食堂へ参りましょうか」
「行こーぜ! 千里ぃ」
授業が終わった後も、ボーっと黒板を眺めるあたしに、光と結衣が話し掛けてきた。
「あっ、うん……」
蒼ちゃんが用事かぁ……。なんであたしに話してくれないんだろう……。
「どうかしましたか?」
「えっ? あっ……ごめんねっ! 行こっか」
光の心配そうな顔が目に入り、あたしは正気に戻った。
しまった……。
蒼ちゃんの『用事』が気になって空返事になってしまっていた。
それがどんなに失礼なことか、あたしは分かってたのに……。
あたしは無理に笑顔を作り、勢い良く席を立つ。
多分、この作り笑いは二人に気付かれてるだろうな……。
あたし達は、一年生が入る三号館校舎から食堂のある本館へと向かった。
神明学園は――
一年生が三号館。
二年生が二号館。
三年生が一号館。
部室などがある部活館。
職員室や体育教官室など、学園の中枢が本館。
詳しくはわからないけど特別館というものもある。
この様に、用途、学年によって完全に校舎が別れており、計六棟の校舎が存在する。
ちなみに、音楽室や科学実験室などの特別教室は各学年校舎に設置されているので、教室移動は容易なんだ。
学園内の全ての校舎は渡り廊下で繋がっている為、各学年や教師との交流は頻繁に行われており、学年の垣根を越えたイベントも多く催される。
あたし達が向かう食堂は本館の地下一階にあるらしい。
あたし達は食堂に向かうため、本館への道を通る。
その際、同じく本館に向かう蒼ちゃんの姿を偶然見つけた。
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