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「ねぇねぇ、蒼ちゃん! どれにしようか迷っちゃうねぇ!」
「ボクはラーメンだ。更にチャーシューをトッピングする」
「またラーメン!? じゃあ、あたしはパスタにしよぉっと!」
「では、窓際の席で落ち合うことにしよう」
「はぁい!」
屋上を出たあたし達は、昼食をとる為、地下の食堂に来ている。
神明学園の食堂はとても広く、地下であるにもかかわらず地下庭園に囲まれている。
その為、大きな採光用の窓もあり、外界の光りが差し込んでいた。
しかし、それよりも変わっているのは、この食堂のシステムだ。
普通なら一つの食堂で麺類や御飯物、揚げ物などのコーナーを取り扱っているが、神明の学食はちょっと違う。
無数のテーブルが置かれ、それを取り囲むように八つの店舗が並ぶ。
あたし達はどれかの店舗を選び、注文した料理を受け取って席に着く。
いわゆるフードコートのようなシステムなんだ。
蒼ちゃんはラーメン屋さんを選び、あたしはイタメシ屋さんを選んだ。
あたしがパスタを注文するのを見て、彼は少しタイミングをずらし、ラーメンを頼む。
蒼ちゃんはなんだかんだで、いつもあたしのタイムテーブルに合わせてくれる。
二人共ほぼ同時に出来上がり、窓際の席に着いた。
「いただきまぁす!!」
「いただきます」
フォークでパスタを巻いていると、蒼ちゃんがチャーシューを持ち上げて眺めているのが目に入った。
「どしたの? 蒼ちゃん?」
よくわかんないけど、チャーシューに顔を近付け過ぎだよ。
何か気に障ったのかなぁ?
「チャーシューがバーナーで炙ってある……。なんて、なんて手が込んでいるんだ」
……感動してたのか。
「よかったねぇ! 蒼ちゃんの大好きな炙りチャーシューじゃん! さすが神明の学食」
彼は無類のラーメン好きだ。
好きなラーメンは、ネギがドッサリ乗った、こってり醤油豚骨。
特にチャーシューにはかなりのこだわりを持っているようで、期待していなかったであろう学食のラーメンだけに、喜びの振り幅が大きかったらしい。
彼はある程度チャーシューを眺めた後、チャーシューをスープの中に戻し、スープを蓮華で一杯すくって口にする。
無言で二回程うなずいてから、ラーメンを食べ出した。
そんな蒼ちゃんを見て、あたしもパスタを食べ始める。
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