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「御馳走様でしたぁ!」
御飯を食べ終えたあたしは、お茶碗とお皿を片付け、みだしなみチェックのため再び洗面所へ。
鏡を見ながら長めの髪をとかし、几帳面なまでに歯を磨く。
「黒く染めよぉかなぁ……」
あたしの髪は生れつき茶色がかった淡い色をしていて、日本人らしい黒い髪に憧れているんだ。
実は機会があれば黒染めしてみよぉかと密かに企んでいる。
一通りの身なりを整えたあたしは部屋に戻り、忘れ物等がないか鞄の中身を確かめる。
教室に張り出されていた時間割を生徒手帳にメモしていて、それを見ながら昨日の夜に教科書を選んだから完璧だ。
鞄のチェックを終え、ハンガーからブレザーを取ってカッターの上から羽織った。
そして……大切な二つの指輪。
左手の中指と薬指にそれぞれ一つずつはめる。
「よしっ!」
準備万端。
時刻は七時五十二分。
「お婆ちゃん! 学校行ってくるねぇ」
「はい、いってらっしゃい。気をつけて行くんだよ」
洗濯物をしていたであろうお婆ちゃんが《パタパタ》とスリッパの音を響かせながら駆けてくる。
「はぁい! 行ってきまぁす!」
あたしはお婆ちゃんに笑顔で手を振りながらノブに手を掛け、家のドアを静かに開けた。
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