編入

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「桐咲命、君を退学処分とする!」 ――これが、一ヶ月の高校生活の終わりを表す言葉だった。 原因?そんなのは知らない。 ただ俺はそう言われただけなのである。 まぁもし強いて言うなら―― ――殺人未遂。 だが俺にはそんな記憶はない。 そもそも俺にそんな勇気はない。 それに殺されかけたのは見知らぬ他人。 動機が見当たらないのである。 たまたま俺は血まみれでその場にいて、血まみれで死にかけの他人が倒れていただけ。 まぁそんなこんなで、俺は退学となった。 5月の中旬に差し掛かったある日、俺の下に宅配便が届いた。 封筒が一つに段ボールが一箱。 取り合えず封筒を開けることにした。 すると初めに俺の目に飛び込んで来たのは、 「編入届・・・・・・まぁ母さんも退学になって心配してるんだろうな。そもそも殺人未遂で牢屋にぶち込まれてない方が不思議だもんな・・・・・・」 で、行き先は―― ――神那岐学園。 嘘だろおい・・・・・・何でよりによってここなんだよ! 神那岐って言えば学園内だけじゃなくそこら辺一帯の地域住民全てが能力者っていうあの神那岐か!? 何かの間違いだと思い、俺は母さんに素早く電話をかけた。 『はい、もしもし?』 「母さん!あれはどういう事だよ!俺が神那岐に編入って!?」 『俺?私には息子何ていません。いるのは可愛い可愛い娘だけです。そうですよね、命さん?』 このババア・・・・・・!俺は身体は女でも心は男でありたいんだよ! 「分かりました!以後気をつけます!で、どういう事ですか!?」 『まだ決まった訳ではないのですから、そう焦らずに。試験については知っていますね?』 「そりゃまぁ・・・・・・有名ですし」 神那岐学園の入学及び編入試験は至ってシンプル。 入学願書もしくは編入届を理事長室まで持って行けば良いだけ。 だが今まで無能力者が合格したことは一度もない。 合否は理事長のさじ加減により決まる。 『では健闘を祈っています。それでは』 そう言い残して電話は切れた。 ・・・・・・こうなったら当たって砕けろだ! 気を取り直して段ボールの中身を確認してみると、そこには手紙とナイフが二本、後はそれを納める用のベルトが入っていた。 ・・・・・・これが必要と思われる学園ってどうなの? 手紙を手に取ってみると、宛名には「神那岐学園理事長ミリアナ・フェイスター様」と書かれていた。
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