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俺宛てじゃねぇのかよ!
心の中で叫んでいると手紙の裏には一枚の紙が張り付けてあった。
『合格したら渡してください』
・・・・・・何で合格出来ると思ってんだよ。俺は普通の一般人であり無能力者なんだぞ?
でも行くしかないよな・・・・・・あの母さんが行けって言ってんだから何かがあるのかもしれない。
俺は編入試験を受ける決心をし、神那岐に行く準備を始めた。
――翌日
神那岐に到着した俺は早速学園を探し始めた。
地図によれば神那岐駅からすぐらしいがそれらしき建物は見当たらない。
歩行者に道を尋ねながら行くと、意外と普通に見付かった。
駅からでは建物で見えなかっただけで、少し歩いただけでそれは姿を現した。
だが――
「――デカすぎなんだよぉ!」
舐めていた・・・・・・流石幼から高までの一貫校。半端じゃないデカさだ。
よし、気を取り直して・・・・・・行くか!
そうして俺は神那岐学園に足を踏み入れた。
「ふふ、楽しみだわぁ」
理事長室で一人椅子に腰掛ける少女がいた。
その髪は紅く、自分の身長よりも長い。瞳も同様に紅く、それを細めながら頬杖をつく様はどこかしら貫禄を感じさせる雰囲気を放っている。
「桐咲紗奈佳の娘。やっぱりナイフを使うのかしら?今からでも楽しみ・・・・・・早くここまで来なさい命君・・・・・・いえ――」
理事長室は管理棟の4Fか。
とぼとぼと歩きながら理事長室を目指す。
「それにしても建物一つ一つがデカい・・・・・・」
そんな事を呟いていると、ようやく理事長室に辿り着いた。
緊張してきた・・・・・・。
俺は唾を飲み込み、息を整えてから扉をノックした。
「入りなさい」
ノックの音が出ると同時に中から声が聞こえた。
「失礼します」
中に入るとそこには紅髪の少女が椅子に腰掛け、こちらを見る。
「桐咲命君ね?こちらに来なさい」
「はい・・・・・・」
少女・・・・・・多分理事長であろう人の近くに歩み寄る。
すると理事長は小さく頷き、
「合格」
「・・・・・・はい?」
「あら、聞こえなかったかしら?それは失礼。『合格』と言ったのよ」
「え?なんで?俺無能力者なのに?というかそんなにあっさり決めて良いんですか!?」
もっと厳しいイメージがあったんだけどなぁ・・・・・・。
「あっさりではないわ。学園創立以来初めての無能力者となるかもしれないのよ?一日中考えたわ」
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