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俺達が四歳ぐらいの夏の頃。
「どうした希!?……また、いじめられたのか?」
「うぅ……和くん……だって……」
俺の前で泣きじゃくる女の子、朽木希(クチキノゾミ)。
俺の幼なじみで泣き虫な女の子だ。
希が産まれてすぐに両親が離婚してしまい、母親が引き取ったのだが、その母親が交通事故で亡くなって俺の親が引き取った。
幼なじみではあるが、妹みたいな存在でもある。
「あいつらが……あたしはお父さんとお母さんがいないから……捨てられたんだって……」
ぐすっぐすっと涙を拭いながらも、泣き続ける希。
コイツは、親の事をネタに近所の奴らに、いつもいじめられている。
「そんなワケないだろ!!」
俺が大声を出すと、涙を拭いながら希は見上げてくる。
「言われたら二倍にして言い返せ!いいか希、泣くぐらいなら怒れ!!父さんや母さん、俺だっている……お前は一人じゃないんだから」
なぐさめのつもりで言った言葉。この時は、希とずっと一緒にいられると思ってた。
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