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「やってみたいんか~。さて、どうすりゃいいのかね……俺こうゆう接客みたいなの苦手なんだよな~。 まぁとりあえず…打ってく?」
「え、いいんですか!?」
見学しにきただけなのに、打たせてもらえるとは思わなかった。
部長は行っちゃったし、部員もまだそんなに来ていないみたいだからなのか、卓球台は二台余っていた。
「やったことないんだよな? んじゃあ軽く行くかんな~」
とりあえずで渡されたラケットは、持つところに出っ張りがあるタイプのやつだった。
僕が映画で見たのを思い出しながら、ラケットを握ると、男子部員がゆっくりとサーブを打ってきた。
カコンという卓球独特の音と共に、ネットの上を真っ白いボールが通過して、僕のほうに迫ってくる。
「うりゃっ」
思わず出てしまった掛け声と共に、僕は思いきりラケットを振ったのだが……
コン、コン、コン……
勢いよくラケットは宙を切り、ボールはそのまま重力に従ってバウンドしながら、僕の横を通り抜けていった。
「え、え~っと、ボールを見なきゃ当たんないからな…?」
「はい…」
当たり前のことを言われました。
少し落ち込みました。自分自身に。
やっぱり映画みたいには
いかないもんだなぁ……
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